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城月 個展

不知火
【開催概要】

会場/myheirloom
東京都中央区日本橋大伝馬町11-10 西井ビル 3階

会期:2026年2月14日(土)〜3月1日(日)
木金/16:00~19:00
土/13:00~19:00
日/13:00~18:00
※月火水祝 休廊
※曜日により営業時間が異なります。ご注意ください。
また、最終日3月1日(日)は17時までとなります。




 

 myheirloomではこの度、2026年最初の展覧会として、作家・城月による個展「不知火(しらぬい)」を開催いたします。不知火とは、夜の海上に、実在しないはずの光が無数に揺らめいて見える現象を指します。遠くの漁火が、大気と水面の温度差によって屈折することで生じるその光は、確かに「見えている」にもかかわらず、決して辿り着くことのできない場所に浮かび続けます。

 

 城月の作品は、この不知火のように、「存在しているはずのないものが、確かにそこにある」と感じさせる視覚体験を私たちにもたらします。彼女が描いているのは、明確な物語や単一の主体ではなく、此岸と彼岸、記憶と現実、在ることと無いことのあいだに立ち現れる、捉えどころのない感覚そのものです。


 2020年に武蔵野美術大学日本画学科を卒業した城月は、岩絵具や和紙といった日本画固有の素材性、余白や「間」を内包しながらも、特定の様式や制度としての日本画に回収されることを避け、コンテンポラリーアートとしての独自の表現を模索してきました。大和絵や浮世絵に通じる平面性を意識した画面構成や、フラットに描かれた人型の存在は、鑑賞者の視線を特定の人物やキャラクターへと集中させるものではなく、画面全体へと静かに拡散させていきます。


 城月にとって風景とは、人物を引き立てるための背景ではありません。彼女の作品においては、人物と風景が明確に分けられることなく、同じ位相に置かれています。人型の存在、草木や空気の気配、時間の流れを感じさせる余白──それらすべてが並置され、画面全体として、ある存在や出来事の一場面を立ち上げています。人物が中心となって物語が展開されるのではなく、作品全体がひとつの絵巻物のように、断片的な記憶や感情を含んだ「場」を描き出しているのです。


 このようにして生まれる城月の作品は、人物画でも純粋な風景画でもありません。作品全体が、そこに在るはずのない存在や、すでに失われた時間の気配を内包しながら、ひとつの主人公(あるいは複数の存在)の一部として機能しています。鑑賞者は特定のモチーフを読み解くのではなく、その場に身を置くようにして、イメージと向き合うことになります。幻想性や幽玄といった東洋的な感覚を内包しながらも、城月の作品は、懐古的な様式や物語性に回収されるものではありません。「彼岸」と「此岸」の境界に立ち現れるイメージは、現代を生きる私たち自身の不確かな存在感や、自己の輪郭が揺らぐ感覚を静かに映し出しています。


 本展「不知火」は、城月が一貫して取り組んできた「存在のあわい」という主題を、空間全体を通して体感できる機会となります。確かに見えているにもかかわらず、言葉や意味に収まりきらない光のように、本展が鑑賞者それぞれの内側に、静かな余韻として残ることを願います。

今、あなたが見ているあの光は
“こちら”の景色の虚像です
目の前で揺れる
決して辿り着くことのできない場所


私の世界は、この不知火のようだと思い今回の展示テーマにしました。もしかしたら、昨年訪れ感動した天草のおかげかもしれません。
決して辿り着けない向こう側の光を前に、私たちは「曖昧な存在」と「明確な物理空間」とのあいだに漂う意識として、何をよすがにそこへ立つのでしょうか。

 


城月
Kizuki
1997年 茨城県出身、2020年 武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業
日本画の技法や素材を使い、無数の異なる視点や時間が重なりあった「いるといない」「あるとない」その境界世界を描く。
一見無関係に見えるものごとを結びつけている微かな意識。このような存在のあわいを描くことで、忘れてしまっている記憶や感情といったアイデンティティの根に触れる何かに気づくことができるのではないかと思う。

〈個展〉
2023 : allelon para ( GALLERY KINGYO / 東京 )
〈主なグループ展〉
2026 : 第7回芸術ハカセは見た!展「故郷と庭」( 徳島城博物館 / 徳島 )
2025 : cross cross x x VOL.3 Group Exhibition ( GALERIE OVO / 台北 )
   あきかぜ ( JITSUZAISEI / 大阪 )
   群馬青年ビエンナーレ2025 ( 群馬県立近代美術館 / 群馬 )
   せいらん ( 新宿眼科画廊 / 東京 )
2024 : Telepathy (アトリエ三月 / 大阪)
   イトウモモカ/ 城月 二人展 くもゐ ( 新宿眼科画廊 / 東京 )
   1000枚Drawing vol.8-A ( GALLERY KINGYO / 東京 )
2023 : 로컬! ローカル! ( pie / ソウル )
   The Preview with Shinhan Card ( SFactory D동 / ソウル )
   Study : 大阪関西国際芸術祭 ( 大阪府立中之島図書館, グランフロント大阪 / 大阪 )
   はつはる ( 新宿眼科画廊 / 東京 )
〈賞歴〉
2025 : 群馬青年ビエンナーレ2025 入選

 

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