HALO(Portrat)
高野詩音 角田笑香 邑木一翔
会期 : 2024/8/24(土)〜9/8(日)
木金16:00〜19:00
土日13:00〜19:00
※月・火・水曜日、祝日は休廊
会場 : myheirloom
東京都中央区日本橋大伝馬町11-10 西井ビル3F
高野詩音 | Shion Takano
2001年生まれ
福島県出身
2021年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学 在学中
個展
2023年『painting – 塗り重ねる』roidworksgallery(東京)
主なグループ展
2024年
『AaP 2024』roidworksgallery(東京)
『ART ART KOBE -ArtSticker SELECTION-』(兵庫)
『スイート』銀座蔦屋書店(東京)
2023年
『AaP2023 Towards The Future PART2』roidworksgallery(東京)
『UP AND COMERS Vol.2』+ART GALLERY(東京)
2022年
髙野詩音×角田笑香 2 人展『Picky Nicky』GALLERY33 SOUTH(東京)
髙野詩音×山本隼 2 人展『Muse』ERIC ROSE(東京)
その他
・BS フジ「ブレイク前夜 ~次世代の芸術家たち~」出演(2023 年 4 月 4 日放送)
・月刊美術「ネクストブレイク いま手に入れたい 60 点!」掲載(2023 年 12 月号)
・月刊アートコレクターズ「完売作家特集」(2024年2月号) 等
角田笑香 | Emika Tsunoda
2001年生まれ
福島県出身
2024年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻 卒業
2024年 武蔵野美術大学造形研究科修士課程美術専攻油絵コース 在籍中
2024年 神山財団芸術プログラム11期生
主なグループ展
2024年
grid3(biscuit gallery/東京)
2023年
Raising Piggy with ketchup( Room_412/ 東京)
cult of personality(KATSUYA SUSUKI GALLERY/ 東京)
2022年
Picky Nicky(GALLERY33SOUTH/ 東京)
Somewhere in between(THE blank GALLERY/ 東京)
邑木 一翔 | Kazuto Muraki
2001年生まれ
千葉県出身
2021 年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学 在学中
主なグループ展
2024年
serendipity(Room 412/東京)
2021年
BLISSFUL ABODE(haco-art brewing gallery-/東京)
point de depart(Bohemian's Guild/東京)
myheirloomではこの度、新進気鋭の若手作家3名による企画展「HALO(Portrait)」を開催いたします。
HALOとは、神仏の背後から放射状に描かれる「後光」や、キリスト教の聖人や天使などの頭上に描かれる「光の輪」を指す言葉です。同時に、後光が差すという言葉もあるように、人の持つ気性や特性が「オーラ」という形で目に見えて現れる様を指す言葉でもあります。
本展では、ポートレートを主題としながらも、人そのものを描くのではなく、そこから発せられる感覚的なものを纏った作品を描く高野詩音、角田笑香、邑木一翔の3名の作家をフィーチャーしました。
高野は、絵画の本質に迫るため、リアリティの根拠を絵の具を塗り重ねる過程の先に見出しているといいます。
絵画の物語性やその構造、物質性などに回帰せず、内面的な感覚に言及していくことで、絵画特有の存在感を獲得出来ると主張する高野の作品は、非常に重厚な色彩の重なりにより、ある種の圧を放っているようにさえ思えます。
最近では、両性具有のイメージをもつグラムロックアーティストやビジュアル系バンドのもつ世界観を下敷きに、耽美であり、優雅であり、装飾性を持ちながらも、儚さや破滅性を内包した作品を制作しています。
これらのバンドの装飾性や、アーティストの葛藤、表と裏の2面性といった「内面的な感覚」を、絵画という平面の中にどれだけ詰め込み、表現出来るのか。
高野のこれらの実験の過程が、その筆致や色彩との格闘の痕跡として作品に表出していると言えるでしょう。
角田の作品には人の顔や体の一部が登場し、それぞれが独特な色彩バランスと構図の中で融合しています。
それは単に人物を描くという行為とは異なるアプローチとして、抽象と具象のあわいを行き来しながら、自立した平面としての二次元性を強く意識した結果の図像の表出です。
角田は現実の三次元空間、対象の模倣、焼き写しとしての絵画ではない、平面作品としての表現を追求しており、⼈の像はひとつの造形要素、構成のピースでしかないとしています。特に、ルールとして「床を画面内に描かない」と決めているという角田は、現実の三次元空間をキャンバスに詰め込むというある種のイリュージョンを避け、制作に置いて常に平面性の獲得を追求する姿勢を崩しません。
各パーツや色彩が緊張感を持ってせめぎ合うことにより真の平面が成立する、とする思考は、彼女が影響を受けたとされるマネの「オランピア」のように、具象のなかにも遠近感を無視し、太い輪郭線と強調された色彩を伴った平面性を伴うという点で、やはり本能的に抽象絵画を志向するものであると言えるでしょう。
邑木は「人がどのように時間を知覚し、意識するのか。鑑賞者は作品のモチーフにどんなイメージを着せるのか。」をテーマに掲げ、制作を行っています。
当初、絵画は複雑な暗示や伏線を張り巡らせたものでなければならない、という固定概念があったところ、ハマスホイとデンマーク絵画の展示を見た邑木は、シンプルな構図ながら緊張感のある作品を見て、大きな衝撃を受けたといいます。
言葉を使わなくても、暗示的にも明示的にもより作中で語れることがあること、自身の言葉は必要なく、相手に伝えるイメージが重要だという思考が芽生えたことで、言葉で説明することができないもの、何かが始まるその瞬間を作品に描くことを目指します。
本展では邑木の実家の室内を描いた「薄明」「陰り「翳り」の3連作、トイレの様子とサニタリールーム内で物憂げな表情を浮かべる女性のポートレート作品「toilet」「sanitary」の2連作で構成されています。
イメージとは何なのか、これらは鑑賞者にどのような影響を与えるのか。
選択したモチーフが鑑賞者の心理にどう反応するかを常に考えて制作に取り組んでいる邑木の問いに対し、鑑賞者自身が頭の中で想起するものこそがその答えとなるでしょう。
現在武蔵野美術大学修士1年の角田と東京藝術大学4年の高野は、高校時代の同級生であり、過去には自分たちで二人展を企画したこともあるほどお互いの作品を理解し合う間柄です。
また、東京藝術大学4年生の邑木は藝大で高野とアトリエを同じくする同級生で、同じ教授から指導を受けながら現在卒制に向け日々意見を交わす関係です。
制作の方向性はそれぞれ異なるものの、具象表現と抽象表現の間を描く3名の作品が、同じ空間の中でどのように響き合い、科学反応を起こすのか。
是非体感いただければ幸いです。